エンジョイ・シンプル・イングリッシュの『夜光人間』がとても面白いので、第11話と第12話を和訳してみました。
時制は一部変えています。
第11話
小林少年がピンチです。亀山さんを助けに来たつもりが、今では二人とも助けが必要になってしまいました。怪人40面相が二人を穴の中に閉じ込めてしまったのです。
小林
もう宝を手に入れたのだから、ぼくたちを穴に閉じ込める必要はないだろう?お前が逃げるのをぼくがじゃまするからなのか?
怪人
ハッハッハ、また当たったね。きみは頭がいい。でもそれだけではない。
ナレ
その時、小林少年の耳に聞こえてきたのは、穴の中に落ちてきた砂の音でした。
小林
うわっ、たいへんだ!亀山さん、起きて。やつがぼくたちを埋めようとしている!
亀山
は? きみは誰?
小林
説明は後でします。今すぐここから逃げなくちゃ!
亀山
この砂はどこから? 何が起こっているんだ?
怪人
ハッハッハ、小林君、言ったはずだ、邪魔をするなと。
ナレ
小林少年と亀山さんは穴から出ようとしましたが、うまくいきません。もはやこれまでか…と二人が思ったその時、砂が止まりました。そして一本のロープが下りてきたのです。
怪人
さあ、上がってきたまえ。君たちを傷つけるつもりはないんだ。ただ脅かしたかっただけさ。私はある人物を待っているんだよ。
小林少年
何のことだ?
怪人
知らないのかい?明智が君を助けにくるだろう。私がやっつけたいのは彼だ。
ナレ
怪人40面相の声は、トンネルの中でますます不気味に響きました。そのとき、誰か別の声がしました。
夜光人間
実際、明智はもうここにいるかもしれない。
怪人
は? 何か言ったか?
ナレ
怪人40面相は振り向いて、宙に浮いている白い顔に尋ねました。その顔がしゃべっていたのです。
夜光人間
明智はもうここにいるかもしれないと言ったのさ。
怪人
お前は私のアシスタント…だな?
夜光人間
お前のアシスタントはあっちだ。見ろ。
ナレ
怪人40面相は、地面に倒れている黒いシャツの男を見ました。男の手足は縛られていました。
怪人
私のアシスタントが! では、お前は…
明智
そうだ、明智小五郎だ。
怪人
どうして私がここにいるとわかったんだ?
明智
お前が亀山を名乗って私のオフィスに電話をかけてきたとき、私はいないと小林君は言っただろう。あれはうそだったのさ。お前が罠を仕掛けるとわかっていたから、私は庭で待ち伏せしてお前のアシスタントの後をつけたんだ。私は持ってきた着替えで夜光人間に変身した。そしてお前を捕まえるために待っていたのさ。
怪人
ほう、ほう。私を捕まえられるとでも思っているのかね?
明智
もちろん。ところで、お前はもう捕まっているのだよ。
怪人
もう捕まっている? お前に?
明智
私たちに、だ。向こうを見ろ!トンネルの入り口だ!
ナレ
怪人40面相が振り返って目にしたものは、たくさんの懐中電灯でした。警官たちが手にしていたのです。
怪人
ギャーー‼!
ナレ
大声を上げて、怪人40面相はトンネルの奥へ走って行きました。
明智
今度こそ必ず捕まえるんだ!
ナレ
明智と警官たちは大怪盗を捕まえることができるのでしょうか?
( つづく)
肘井美佳さん
「もう、いろんな人がそれぞれに変装するので、もはやだれが本物かわかりませんね。そう言っているこのナビゲーターも、ハッハッハ、私は怪人1面相。なので、いつもの肘井美佳でした」
来週は最終回です。楽しみです。
第12話
40面相
ハッハッハ!
ナレ
怪人40面相、またの名を夜光人間は、笑いながらトンネル内を走って行きます。明智小五郎と警察は後を追います。確実に今回こそは怪人を捕まえられるはずですが…
警察
あーっ!
ナレ
突然、金属製の扉が警官たちの前に降りてきたのです。あやうくぶつかるところでしたが、大丈夫でした。しかし困ったことに、もう怪人を追うことができなくなってしまいました。
怪人
ハッハッハ!言っただろう、捕まるのはごめんだと。私にはいつも計画があるんだよ。トンネルの入り口に急いで戻った方がいいよ、さもないと…
ナレ
警官たちはどうしていいかわかりません。明智先生と相談したかったのですが、先生はどこにもいません。そのとき、後ろで別の扉が閉まりました。
警察
たいへんだ!戻れなくなってしまった。これではどこにも行けない!
怪人
私の計画はいかがかな?さようなら、警察の諸君!ハッハッハ!
警察
待て!
ナレ
怪人は笑いながら走り去ります。怪人はトンネルの端の階段を上がって、石のふたを持ち上げました。今回も怪人40面相は逃げきってしまうのでしょうか。怪人が(地面に)上がって、にやりとしたところで、大きなあみが怪人をとらえました!怪人は抜け出そうとしますが、動けば動くほどあみが怪人に絡みつきます。怪人はついに倒れてしまいました。
明智
おや。あみに捕まった大きな魚のようだね。
怪人
明智!
明智
計画があるのはお前だけじゃないのさ。
怪人
だが、私より先にどうやってここに来たんだ?
明智
簡単さ。私は警官より先にいた。このトンネルには、井戸の他に別の出口があるとわかっていたんだ。お前は出口が一つしかない場所へ決して行かないだろう。そこで少年たちがその別の出口を探したら、わりと簡単に見つけたのさ。 ところで、そのあみを持っているのは少年たちなんだよ。
怪人
ああーっ!
ナレ
怪人40面相は大いに怒り、あみから出ようとしましたが無駄でした。
明智
今回は逃げられるはずがない。お前はとうとう捕まったのだ。
ナレ
ちょうどそのとき、石のふたが動いて、警官たちが出てきました。彼らは扉を動かすことができたのです! 警官たちはあみの中の怪人を見ると、すぐに捕らえました。抵抗されたものの、ついに警察は怪人に手錠を掛けました。
小林
明智先生、やりましたね!夜光人間の謎を解いて、怪人40面相を捕まえました!やったー!やったー!
ナレ
小林君は大喜びです。他の少年たちも、小林君と一緒になって歓声を上げました!
少年団
明智先生、バンザーイ! 少年探偵団、バンザーイ!
ナレ
悪に立ち向かう正義の戦いは、ついに終わりました。