英検1級・TOEIC900点からのNHK語学

英語講師です。通訳案内士試験合格しました。

エンジョイ・シンプル・イングリッシュの『夜光人間』日本語訳

 

エンジョイ・シンプル・イングリッシュの『夜光人間』がとても面白いので、第11話と第12話を和訳してみました。

時制は一部変えています。

  

 

 

第11話

 

小林少年がピンチです。亀山さんを助けに来たつもりが、今では二人とも助けが必要になってしまいました。怪人40面相が二人を穴の中に閉じ込めてしまったのです。

 

小林

もう宝を手に入れたのだから、ぼくたちを穴に閉じ込める必要はないだろう?お前が逃げるのをぼくがじゃまするからなのか?

 

怪人

ハッハッハ、また当たったね。きみは頭がいい。でもそれだけではない。

 

ナレ

その時、小林少年の耳に聞こえてきたのは、穴の中に落ちてきた砂の音でした。

 

小林

うわっ、たいへんだ!亀山さん、起きて。やつがぼくたちを埋めようとしている!

 

亀山

は? きみは誰?

 

小林

説明は後でします。今すぐここから逃げなくちゃ!

 

亀山

この砂はどこから? 何が起こっているんだ?

 

怪人

ハッハッハ、小林君、言ったはずだ、邪魔をするなと。

 

ナレ

小林少年と亀山さんは穴から出ようとしましたが、うまくいきません。もはやこれまでか…と二人が思ったその時、砂が止まりました。そして一本のロープが下りてきたのです。

 

怪人

さあ、上がってきたまえ。君たちを傷つけるつもりはないんだ。ただ脅かしたかっただけさ。私はある人物を待っているんだよ。

 

小林少年

何のことだ?

 

怪人

知らないのかい?明智が君を助けにくるだろう。私がやっつけたいのは彼だ。

 

ナレ

怪人40面相の声は、トンネルの中でますます不気味に響きました。そのとき、誰か別の声がしました。

 

夜光人間

実際、明智はもうここにいるかもしれない。

 

怪人

は? 何か言ったか?

 

ナレ

怪人40面相は振り向いて、宙に浮いている白い顔に尋ねました。その顔がしゃべっていたのです。

 

夜光人間

明智はもうここにいるかもしれないと言ったのさ。

 

怪人

お前は私のアシスタント…だな?

 

夜光人間

お前のアシスタントはあっちだ。見ろ。

 

ナレ

怪人40面相は、地面に倒れている黒いシャツの男を見ました。男の手足は縛られていました。

 

怪人

私のアシスタントが! では、お前は…

 

明智

そうだ、明智小五郎だ。

 

怪人

どうして私がここにいるとわかったんだ?

 

明智

お前が亀山を名乗って私のオフィスに電話をかけてきたとき、私はいないと小林君は言っただろう。あれはうそだったのさ。お前が罠を仕掛けるとわかっていたから、私は庭で待ち伏せしてお前のアシスタントの後をつけたんだ。私は持ってきた着替えで夜光人間に変身した。そしてお前を捕まえるために待っていたのさ。

 

怪人

ほう、ほう。私を捕まえられるとでも思っているのかね?

 

明智

もちろん。ところで、お前はもう捕まっているのだよ。

 

怪人

もう捕まっている? お前に?

 

明智

私たちに、だ。向こうを見ろ!トンネルの入り口だ!

 

ナレ

怪人40面相が振り返って目にしたものは、たくさんの懐中電灯でした。警官たちが手にしていたのです。

 

怪人

ギャーー‼!

 

ナレ

大声を上げて、怪人40面相はトンネルの奥へ走って行きました。

 

明智

今度こそ必ず捕まえるんだ!

 

ナレ

明智と警官たちは大怪盗を捕まえることができるのでしょうか?

 

( つづく)

 

肘井美佳さん

「もう、いろんな人がそれぞれに変装するので、もはやだれが本物かわかりませんね。そう言っているこのナビゲーターも、ハッハッハ、私は怪人1面相。なので、いつもの肘井美佳でした」

 

来週は最終回です。楽しみです。

  

 

  

第12話

 

40面相

ハッハッハ!

 

ナレ

怪人40面相、またの名を夜光人間は、笑いながらトンネル内を走って行きます。明智小五郎と警察は後を追います。確実に今回こそは怪人を捕まえられるはずですが…

 

警察

あーっ!

 

ナレ

突然、金属製の扉が警官たちの前に降りてきたのです。あやうくぶつかるところでしたが、大丈夫でした。しかし困ったことに、もう怪人を追うことができなくなってしまいました。

 

怪人

ハッハッハ!言っただろう、捕まるのはごめんだと。私にはいつも計画があるんだよ。トンネルの入り口に急いで戻った方がいいよ、さもないと…

 

ナレ

警官たちはどうしていいかわかりません。明智先生と相談したかったのですが、先生はどこにもいません。そのとき、後ろで別の扉が閉まりました。

 

警察

たいへんだ!戻れなくなってしまった。これではどこにも行けない!

 

怪人

私の計画はいかがかな?さようなら、警察の諸君!ハッハッハ!

 

警察

待て!

 

ナレ

怪人は笑いながら走り去ります。怪人はトンネルの端の階段を上がって、石のふたを持ち上げました。今回も怪人40面相は逃げきってしまうのでしょうか。怪人が(地面に)上がって、にやりとしたところで、大きなあみが怪人をとらえました!怪人は抜け出そうとしますが、動けば動くほどあみが怪人に絡みつきます。怪人はついに倒れてしまいました。

 

明智

おや。あみに捕まった大きな魚のようだね。

 

怪人

明智!

 

明智

計画があるのはお前だけじゃないのさ。

 

怪人

だが、私より先にどうやってここに来たんだ?

 

明智

簡単さ。私は警官より先にいた。このトンネルには、井戸の他に別の出口があるとわかっていたんだ。お前は出口が一つしかない場所へ決して行かないだろう。そこで少年たちがその別の出口を探したら、わりと簡単に見つけたのさ。 ところで、そのあみを持っているのは少年たちなんだよ。

 

怪人

ああーっ!

 

ナレ

怪人40面相は大いに怒り、あみから出ようとしましたが無駄でした。

 

明智

今回は逃げられるはずがない。お前はとうとう捕まったのだ。

 

ナレ

ちょうどそのとき、石のふたが動いて、警官たちが出てきました。彼らは扉を動かすことができたのです! 警官たちはあみの中の怪人を見ると、すぐに捕らえました。抵抗されたものの、ついに警察は怪人に手錠を掛けました。

 

小林

明智先生、やりましたね!夜光人間の謎を解いて、怪人40面相を捕まえました!やったー!やったー!

 

ナレ

小林君は大喜びです。他の少年たちも、小林君と一緒になって歓声を上げました!

 

少年団

明智先生、バンザーイ! 少年探偵団、バンザーイ!

 

ナレ

悪に立ち向かう正義の戦いは、ついに終わりました。