英検1級・TOEIC900点からのNHK語学

英語講師です。通訳案内士試験合格しました。

エンジョイ・シンプル・イングリッシュ日本語訳『木登り』

エンジョイ・シンプル・イングリッシュ

『木登り』日本語訳

 

 

 

木登り(Tree Climbing)

 

ゆういち「ああ、緊張した」

ちなみ「もう終わったわよ」

 

f:id:eigo-learner:20180627154829j:plain

 

「でさぁ、ちなみ、おれ、うまくできたかな?」

「どういうこと?」

「ご両親に気に入ってもらえたかな?」

「うちの両親は幼稚園のころからゆういちのこと知ってるのよ。気に入ってるに決まってるじゃないの。今日気が変わったとは思えないわ」

「あのさ、このことは別なんだよ。緊張したなぁ」

「ありがとね」

「何が?」

「うちの両親に結婚していいか聞いてくれて」

「大切なことだよ。確かに、ご両親はおれのこと子どものころから知っているけど、信頼できる人間として見てほしかったんだ」

「私たち、本当に結婚するのね…」

「は?」

「ごめん。実感が湧かなくて」

「そうだな。同じこと思ってたよ。子どものころさ、この丘を越えて学校に行ってたんだよな。あの頃は、結婚なんて思いもしなかった。野球のことで頭がいっぱいだった」

「あのね、私はね、いつかゆういちのお嫁さんになりたいってひそかに思ってた」

「そうなの?」

「そうよ。ねえ、向こうに木が見える?」

「うん。何か特別な木なの?」

「よくあの木に登ったの。あの木からゆういちの家が見えたのよ。木に登っていつもゆういちの家を見て、ゆういちが見えるかなって思ってた。ねえ、今登ってみない?」

 

f:id:eigo-learner:20180627155017j:plain

 

「今? 新しい靴を履いているんだけど。それにこんなスーツじゃ登れないよ」

「大丈夫よ。(木に登る)ああ、木登りってたいへん。子どものころは簡単だったのに」

「ほら、手をとって」

「ありがとう。あー、遠くまで見渡せるわね。あらっ?」

「どうした?」

「ゆういちの家が見えない」

「ああ、新しいビルが建っちゃったからね。子どものころとずいぶん景色が変わっちゃったな」

「でも、信じて。ここからゆういちの家が見えたのよ」

「もちろん信じるよ。それに…あの、ちなみを見たんだよ」

「私を見た?」

「ああ。ちなみが木登りしているのを2~3回見たことある」

「本当?冗談でしょ?」

「本当だよ。友だちの太郎が近くに住んでて、よく向こうの方で遊んでいたんだ」

「知らなかった。なんで声をかけてくれなかったの?」

「小学生だったから、そんなことできないよ」

「ははあ。恥ずかしかったのね、私がかわいくて人気者だから」

「ちなみが? かわいい? サルみたいに木登りしてたのに」

「ちょっと!それはないんじゃない? 正直に言いなさい。私のことが好きで声をかけられなかったと」

「押すなよ。落ちちゃうよ。あああー! いてーっ!」

「ゆういち! 大丈夫? ごめんなさい。立てる?」

「大丈夫だよ。しりもちをついただけさ」

「本当にごめんなさい。押すつもりはなかったのよ。ちょっとふざけただけ」

「よし、わかった、本当のことを言うよ」

「本当のこと?」

「子どものころから、おれもこっそり思ってたんだ。ちなみと結婚したいって!」

 

f:id:eigo-learner:20180627155200j:plain

 

 

キャーキャー!!

勝手にやって。

もー知らん。