エンジョイ・シンプル・イングリッシュ
『高野山』
高野山
アキト「ベン、いつになったら着くのさ? ケーブルカーに乗るなんて言わなかっただろ!」
ベン「もうすぐだよ」
ナレ(アキト)
ぼくはアキト。ベンとぼくは、ちょうど今、和歌山県の山奥に来ている。大阪に行く前に、ベンがここに来たがってたから。ぼくたち、どこへ行くんだろう…
べ「ここは高野山駅だよ。ここからバスに乗るんだ」
ア「高野山に来てるの? ここはふらっと1時間見に来るような場所じゃないよ! 何日も滞在するところだよ」
べ「でもさ、やっぱり来なくちゃ。関西の観光スポットだからね」
ナレ(アキト)
ベンは本当に寺院や神社が好きなんだ。それで高野山に来たかったのか。
べ「どうして空海のような高僧が、大きな町から遠く離れた山奥にお寺を建てたんだろう?」
ア「それは有名な話だよ。空海は中国で2年間修行したんだ。日本に帰るときにになって、どこにお寺を建てるべきかわからなかった。そこで中国を発つ前に、三鈷(さんこ)っていう仏具を海のむこうの日本に向けて投げたんだよ。それが高野山の松に引っかかったんだ。だからここにお寺を建てたんだって」
べ「本当? はるか彼方の中国から投げたなんて信じられないよ! しかも、それをどうやって見つけたのかな?」
ア「ま、古い言い伝えだからね…。とにかく、バスでどこに行くの?」
べ「決まってるだろ、お寺だよ」
ア「あのさ、実はここ、もうお寺なんだけど」
べ「は? どういうこと?」
ア「この山全体が大きなお寺みたいなものだよ。だからもうお寺にいるわけ」
べ「そうなの? ぼくの地図にはたくさんお寺が載ってるんだけど」
ア「そのお寺はみんな空海の弟子が建てたんだよ。お寺は117ある」
べ「なるほど。じゃあ、どこへ行こう?」
ア「そうだな、この山の中心の建物は金堂っていうんだ。あと、金堂の横の根本大塔は高野山のシンボルだよ」
べ「いいね!そこ、行こう!」
ナレ(アキト)
ぼくたちは金堂の近くでバスを降りた。
べ「見てよ! 商店街だ。学校もある!」
ア「高野山には約2,300人が住んでいるんだ」
べ「へえー! てっきり神聖な仏教の修行の場だと思ってたけど、町でもあるんだ。たしかに1時間じゃすべてを見ることはできないなー」
ア「最初から、ここにはもっと長くいるつもりなんだろ?」
べ「うーん、まあね。実は宿坊に予約しておいたんだ。2~3日かけて高野山をエンジョイしよう!」
ア「いいよ。でも次は大阪に行くよ!」
べ「わかってるって。あー、ワクワクする! 奥の院のナイト・ツアーがあるって読んだよ。空海は今もそこで瞑想していると信じられているんだって」
ア「ナイト・ツアー? なんかこわいな…。それに、ベンに仏教のことを英語で説明するなんてぼくにはできないし…」
べ「大丈夫。英語が話せるお坊さんが案内してくれるから。それにぼく、もう仏教のこと何でも知ってるよ。そうだ、ぼくここのガイドになれるかも!」
ベン、自由すぎる!いいなぁ~!