英検1級・TOEIC900点からのNHK語学

英語講師です。通訳案内士試験合格しました。

エンジョイ・シンプル・イングリッシュ日本語訳『長崎』

 

エンジョイ・シンプル・イングリッシュ

長崎

 

 

 

長崎

 

アキト「ぼくたちの芸をごらんいただき、ありがとうございました。またお会いしましょう!」

ベン「みんな、大好き! またね!」

 

ナレ(アキト

ぼくはアキト。今日は長崎県長崎市に来ている。お客さんたち、ぼくたちの芸が気に入ったみたい。でも、ぼくは他のことを考えていた。すごくお腹が空いていて、ちゃんぽんを食べることしか考えられなかった。長崎の名物だ。

 

「長崎ちゃんぽん? なに、それ? おいしいの?」

「もちろんおいしいよ! ちゃんぽんは皿に盛られためんの料理で、長崎が一番なんだ。この町は、カステラとトルコライスも名物だよ」

「どれも独特の名前だね。カステラは知ってるけど、トルコライス? トルコの有名な料理?」

「いや、チャーハンとケチャップ味のスパゲティの盛り合わせで、上にとんかつが載ってる」

「すごいボリュームだね。でも、なんで外国っぽい名前なの?」

「あのね、長崎って実に特別な場所なんだよ。長い間、日本は外国と交流がなかったんだ」

「鎖国時代だよね? 日本を出ることも、ここに来ることもできなかった」

「まあ、そんなところだ。でも長崎はちがった。ここに来ることのできる外国人もいたんだ」

「どうやって?」

「この近くに、出島っていう小さな島があって、鎖国時代、そこだけ外国人が住めたんだよ。中国やオランダから船でいろんなものを持ち込んだ。外国の書物や美術品、食べ物とか」

 

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「だから長崎市はちょっとヨーロッパっぽいんだね」

「そうだね。たくさんの欧風建築物があるよ。グラバー邸は日本で最古の洋風木造建築物なんだ。世界遺産だよ」

「へー。さっき見た教会もよかったね」

「あれは大浦天主堂。その歴史は興味深いよ」

「聞きたいな」

「いいよ。鎖国時代の前、キリスト教を禁じた大名もいたんだ」

「そうなの?」

「うん。でも、信仰をあきらめなかったキリスト教徒もいて、ヨーロッパ人と日本人26人がはりつけで処刑された」

「信じられない!」

「うん。さらにもっと多くのキリスト教徒がのちに罰せられたり、殺されたりした。全部で4万人もの人々が亡くなったらしい」

「そんな悲しい歴史があるなんて」

「200年以上たって鎖国が終わって、1873年に明治政府がまたキリスト教を認可した。大浦天主堂ははりつけにされた26人を忍んで建てられたんだ」

「そうか。とても大切な教会なんだね」

 

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「うん。でもそこで終わりじゃない」

「まだ何かあったの?」

「教会が建てられたとき、キリスト教をひそかに信仰していた人たちがやってきたんだ」

「つまり、その家族は200年以上もこっそり信仰していたの?」

「その通り。隠れキリシタンっていうんだ。彼らの多くは、長崎と熊本の島々に住んでいたと本で読んだよ」

「日本のキリスト教徒は200年以上も隠れていなければいけなかったの? あまりにも長いね」

(お腹がなる)

「だれかお腹なってる!」

「がんばって説明してたら、お腹が減ってたの忘れてた」

「じゃあ、長崎チャンピオンを食べに行こう!」

「ベン、ちゃんぽんだよ、チャンピオンじゃない!」