待ちに待った、関根麻里さんのエンジョイ・シンプル・イングリッシュが開講しました!彼女の元気な声を聞いて、毎日朝からエンジョイできそうです!
成田山新勝寺
ベン「うーん、これすごくおいしい!うなぎがこんなにおいしいなんて知らなかったよ」
アキト「それはよかった」
ベ「この通りにはうなぎ屋さんがたくさんあるね。このあたりの特産なの?」
ア「うん、うなぎとようかんだね」
ベ「ようかん? それも食べてみたいな」
ア「ベン、きみを探すのに3日もかかったんだよ。少しは申し訳ないって思わないの?」
ベ「そんなに怒らないで。ぼくはここにいるんだから。料理を味わおうよ。腹が減っては、いい芸ができないよ」
ア「あー、ベン!」
ナレ(アキト)
ぼくはアキト。ベンとぼくは大道芸人の二人組、A&Bっていうんだ。ぼくたちが出会ったのは、フランスのサーカス芸の学校だった。日本でできるだけ多くの芸をやって、芸に磨きをかけようとしている。予定では、3日前に成田空港で待ち合わせたはずだった。でも…
ア「ベン、ぼくは3時に空港に行ったんだよ、ベンが言った通りにね」
ベ「わかってるけど、飛行機が早く着いちゃったんだ」
ア「じゃあ、なんでぼくが来るまで待っていなかったの?」
ベ「ねえ、アキト、ぼくのことわかっているだろう? 好奇心が強くてさ、どうしても成田山新勝寺に行かなきゃいけなかったんだ!」
ア「本当にずっといなくなっちゃって!」
ベ「断食修行が何日も続くなんて知らなかったんだよ。でも、ほら、おかげでぼく変わったよ。今じゃ、質素なものや、このうなぎみたいにシンプルな料理を楽しむようになったんだ。生まれ変わったみたいだ!」
ア「ベンが生まれ変わっている間に、ぼくはずっと心配していたんだよ」
ベ「わかるけど、連絡が取れなかったんだ」
ア「なんで取れなかったの?」
ベ「修行中は、ケータイとかパソコンは使用禁止だったんだ」
ア「じゃあ、なんで始まる前に電話くれなかったの?」
ベ「時間がなかったんだよ。とにかく、修行はすばらしかったよ! 毎朝、護摩祈祷に参加したんだ。それから仏教の本を読んで瞑想したよ。すごくおもしろかった」
ア「まぁ、いいや。ベンは今ここにいるんだし。食べ終わったら東京に行こう。泊まる場所を見つけなきゃ」
ベ「えーっと、だめだ」
ア「なんだって!?」
ベ「午後は、仏教の経典を書き写す会に出るんだ」
ア「写経のこと?」
ベ「そう。日本人は1時間くらいで終わるらしいけど。ぼくはもっとかかるかもね。だから近くのゲストハウスを二人分予約しといたよ」
ア「じゃあ、今夜は成田に泊まるの?」
ベ「そう。成田太鼓祭りが2,3日後にあるよ。1500人もの人たちが太鼓を叩くんだ。ぼくたちにとっていい勉強になるよ」
ア「でもぼくたちは歌ってジャグリングをするんだよ。太鼓は叩かない」
ベ「ぼくたちだって芸人なんだから、学ぶことはあるよ。おっと、お寺に行く時間だ!」
ア「ベン! 待って! うなぎ代払ってないよ!
ナレ(アキト)
ベンはいつもこうだ。何か見つけると、すぐにやってみないと気が済まない。日本での予定表を作ったけど、必要なさそうだ。たぶん、地図もいらないだろう!」
関根麻里さんはうなぎが好きみたいですね。
次回は横浜中華街ですって! またおいしそうな予感がします!
横浜中華街
アキト「うわー、たくさんのお客さんが見に来てくれたね。横浜サイコー!」
ベン「アキト、ねえ、荷物を詰めるのを手伝ってよ。あのさ、ちょっと芸を変えてみるのもいいんじゃない?いつも同じことばっかりやってるからさ」
ア「新しいことやって失敗するよりはいいんじゃないの?」
ベ「同じことばっかりやっていたら、進歩しないよ」
ア「ねえ、ベン。そんなにマジにならなくてもいいんじゃない? お客さん、僕たちの芸を気に入ってたよ」
ナレ(ベン)
ぼくはベン。アキトは大道芸の相方。今は日本にいて、新しい芸を身に着けようとしている。アキトはいいやつなんだけど、ぼくたちはもっと芸を磨かなくちゃいけない。
ア「言っただろ? 横浜の赤レンガ倉庫は、平日も人でいっぱいなんだよ。ここで1ヶ月くらいやろうよ」
ベ「いや、明日は移動しよう」
ア「でも昨日来たばっかりじゃないか!」
ベ「そうだけど、たくさん場所を変えてやった方がいいよ」
ア「でも、成田には1週間もいたじゃん!」
ベ「日本に来たばっかりだったからだよ。とにかく何か食べよう。中華街に行きたいな」
ア「わかったよ…」
(中華街で)
ベ「あれは門なの?華やかだね。なんて書いてあるの?
ア「朝陽門だよ」
ベ「チョーヨーモン?」
ア「朝日の門って意味」
ベ「いい響きだね」
ア「横浜中華街には門が10個あるんだ。朝陽門が一番大きい」
ベ「うーん! 何かいいにおいがする。向こうの煙かな?」
ア「ちがうよ、あれは湯気だ。肉まんとあんまんを売っているんだよ」
ベ「食べてみたいな。座れると思う?」
ア「歩きながら食べるんだよ。ここではみんなそうしてる」
ベ「へぇ、そうなんだ」
ア「関帝廟まで歩こう」
ベ「カンテービョー? 何、それ?」
ア「神社だよ、中国の商売の神様を祀っているんだ」
(関帝廟で)
ベ「あの建物を見て!」
ア「横浜中華街は、もとは南京町と呼ばれていたんだ。日本が1859年に開国してから、多くの中国人の商人がここに移り住んだんだよ。そして1950年代に横浜市はサンフランシスコを倣って、中華街を観光地にしたんだ。多くの華僑たちがお金を出して、この大きなプロジェクトを支援したんだって」
ベ「カキョー?」
ア「華僑は、外国に移住して、新しい生活を始めた中国人のことだよ」
ベ「へぇ」
ア「中華街にはレストランや店が500軒以上もあるんだ。中国の新年(春節)には、爆竹を鳴らしたり、太鼓を叩いて祝うんだ」
ベ「面白そう! 春節にはまたここに来ようよ」
ア「うん、でも、いろんな場所でやろうって言ったばかりじゃないか?」
ベ「そうだけど、春節はまだ何ヶ月も先だよ。同じ場所でも、そのころまでには新しい芸ができるようになってるよ」
ア「まぁ、そうだね」
ナレ(ベン)
アキトは芸風を変えたくないんだと思う。どうしたらアキトに新しいものをやってもらえるんだろう?
(つづく)
横浜に行きたくなりました。
来週は、川越です。いいところですよ!
小江戸川越
ベン「ねぇ、アキト! このサムライの衣装、似合ってる?」
アキト「いや、小さすぎるだろ!」
(鐘が鳴る)
ベ「あの音、なに?」
ア「時の鐘の音だよ、時間を告げるんだ。向こうの塔の中にあるんだ」
ベ「ああ、知らなかった、あれ時計なんだ」
ア「鐘は一日に4回鳴るんだ。午前6時、正午、午後3時、午後6時」
ベ「じゃあ、今3時だね。おやつの時間だ! 近くに菓子屋横丁っていうのがあるって聞いたよ」
ア「そうだよ。そこには駄菓子屋がたくさんあるんだ。昔の日本みたいだよ」
ベ「そこ、行こう!」
ア「待てよ、そのサムライの格好で行くのか?」
ベ「そりゃそうだよ。貸衣装屋さん言ってたよ、これで川越市内を歩いていいって」
ア「やめてくれよ! へんな格好のサムライと一緒に歩くのなんかいやだよ!」
ベ「ぼくたち、大道芸人なんだよ。問題ないじゃないか」
ア「あぁ~!」
ナレ(アキト)
いつだってベンが全部決めちゃうんだ。今日は池袋に行きたかったのに。でもベンが急に川越に行きたくなっちゃって…
ベ「ほら、アキト。サツマイモの菓子を売ってる」
ア「サツマイモは川越の特産なんだよ」
ベ「サツマイモのどら焼き、たい焼き、シュークリームまである!」
ア「全部買ったの⁉ 菓子屋横丁はどうするのさ?」
ベ「この胃袋にはたくさん入るのさ!」
ア「大通りの蔵造り地区には、古い建物がたくさんあるね。江戸時代や明治時代の建物もあれば、大正時代や昭和のもある」
ベ「うわー、昔に戻ったみたいだ」
ア「昔の日本がどうだったかなんて、どうしてわかるの?」
ベ「サムライ映画を一度見たことがあるんだ。ねぇ、あれは何?」
ア「あめだよ」
ベ「あめ? 棒みたいだけど」
ア「見てなよ。菓子職人が小さく切るから」
ベ「こりゃ、すごい! アキトのジャグリングよりずっと上手い」
ア「何だって?」
ベ「ねぇ、これもあめ?」
ア「いや、それは麩菓子だね。やわらかいパンみたいなもので黒砂糖がまぶしてある。有名な川越の菓子だよ」
ベ「これも買おう」
ア「この街を散策できて幸運だね。2015年にはここで火事があって、5軒が焼失したんだよ」
ベ「本当? まだ数年しかたっていないのに、どこもなんともないよ」
ア「地元の人々が協力して再建したんだ」
ベ「すばらしいね。ぼくたちも見習おう」
ア「見習う? どういうこと?」
ベ「この街を作った人たちは、さらに良くしようとしている。ぼくたちの芸も同じだと思うんだよ」
ア「ぼくは二人の芸が好きなんだ。変えたくないね」
ベ「でも、もっとよくできると思うんだ! ここに映画館がある。上映のために何か特別なイベントをやったりするだろ。どの街でも、何か特別なことができるんじゃないかな」
ア「たとえば?」
ベ「川越なら、サツマイモのジャグリングとか」
ア「ベン、食べ物で遊んじゃいけないんだよ」
(つづく)
川越女子高時代、この辺りをうろうろしてました。
喜多院がおすすめです。
筑波山
アキト「ねぇ、ベン。ぼくが作った予定表のこと覚えてる? いつになったら守ってくれるのさ?」
ベン「そのうちね…」
ア「今どこにいるかわかってるの?」
べ「茨城でしょ。あー、空気がおいしい!」
ア「空気は最高なんだけど、ここで何かやることあるの?」
べ「ここで芸をするんだよ!」
ア「もっと人のいるところでやらなくちゃ。ここにはあまり観光客がいないよ」
べ「いないって? じゃあ、向こうにいる人たちは何?」
ア「あ、人がたくさんいるね。なんでだろう?」
ナレ(ベン)
アキトは市街で芸をやるべきだと思ってる。人がたくさんいるからね。わかってないんだよな。大道芸人はいつも人が多いところで芸をやらなきゃいけないわけじゃない。いい芸が人を集めるのさ。
ア「ベン。わかったよ、あの人たちがどこへ行くのか。筑波山に登る観光客だった」
べ「筑波山ってどこ?」
ア「ぼくたちの目の前の山だよ。筑波山は昔から神聖な山として有名なんだ。『西の富士山、東の筑波山』って言われてる」
べ「本当?」
ア「日の出と日没には、筑波山が紫色に見えるから、『紫峰』と呼ばれることもある。中腹には神社もあって、3,000年の歴史があると言われている」
べ「それはすごいね。で、登るのはたいへんなの?」
ア「ケーブルカーで山頂まで行けるよ」
べ「じゃあ、行こう!」
ア「今?」
べ「そう、いいだろう? どうしてこんなにたくさんの人が行くのか知りたくないの?」
ア「うん、まぁ、そうだね…」
べ「あの人たちは何をしているの?」
ア「ガマの油っていう特別な油を売っているんだよ」
べ「ガマの油? 何、それ?」
ア「ヒキガエルの油だよ」
べ「ヒキガエル? カエルってこと?」
ア「そう。昔、永井兵助って男が不思議な力があるヒキガエルを捕まえたんだ。永井はヒキガエルの表面から油を取って特別な軟膏を作って、浅草で売ったんだ。何でも治るって言われてる」
べ「それは便利だね! あっ! あの女の人、刀で切ろうとしているよ! ああ、血が出ちゃってる。アキト、救急車を呼ぶんだ!」
ア「ベン、大丈夫だよ。ほら」
べ「あの人、軟膏を傷口に塗っているの? 血が止まった」
ア「そう。軟膏が手品みたいに効くんだ」
べ「よし、買おう。芸に切り傷はつきものだからね」
ア「本当は治らないよ」
べ「どういうこと?」
ア「あれは、語り芸なんだよ。ガマの油売りは大道芸人なんだ。ぼくたちといっしょ。刀でわざと傷を作って、観客をびっくりさせて、軟膏で血を止める」
べ「芸なの? すばらしい! 彼女に教えを乞いたいな!」
ア「筑波山に登るんじゃなかったの?」
べ「それはあと。ガマの油売りのところへ行って話をしようよ!」
ア「ベン! 待てよ!」
(つづく)
筑波山には年末に登ったことがあります。お正月の準備をしていました。神聖な山と呼ばれるだけあって、独特の雰囲気がありました。
『エンジョイ・シンプル・イングリッシュ』レベル別活用法↓