英検1級・TOEIC900点からのNHK語学

英語講師です。通訳案内士試験合格しました。

エンジョイ・シンプル・イングリッシュ日本語訳『日本の昔話』(夢買い長者/養老の滝)

 

 

 

 

【夢買い長者】

 

昔々、若者とおじいさんが、薪を拾うために村から山へ出かけて行きました。

二人は数時間働いた後、座って休むことにしました。おじいさんは横になって眠ると、すぐにいびきをかき始めました。

若者が見ていると、おじいさんの鼻から何かが出てきました。それはハチでした。ハチは東の方へ飛んでいきました。そして数分後に戻ってくると、またおじいさんの鼻の中へ入って行きました。

おじいさんはゆっくりと目を開けて、「よい夢を見たところじゃ」と言いました。

「どんな夢でしたか?」と若者が尋ねると、おじいさんは言いました。

「わしはどこかへ飛んで行ってな、川のところまで行ったんじゃ。川を飛び越えて、小さな丘に登ったんじゃ。丘の上には、白い花をつけた大きな木があって、木のてっぺんから見ると、地面に穴があったんじゃ。穴の中に入ってみると、そこは大きなほら穴で、そこらじゅうに金の石があったのじゃ。ほら穴の中は本当にきれいじゃった」

 

若者は考えました。

「おじいさんが夢の中で飛んだって? わかったぞ。あのハチはおじいさんの魂だったにちがいない。魂がおじいさんの身体を離れて飛んで行ったんだ。きっと、おじいさんの魂が、金でいっぱいのほら穴を見つけたんだ」

若者は飛び起きて、東の方角へ走って行きました。

すぐに川に出ると、若者は泳いで渡りました。そして若者は、丘の上に白い花をつけた木を見つけました。

 

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若者は丘を駆け上がり、木に登りました。木の上からは穴が見えました。若者は飛び込みました。ほら穴の中で、若者はたくさんの金を見つけました。おじいさんの夢の通りだったのです。

 

若者は、何とか持ち運べるだけの金を持って家に帰りました。そして、若者は金を売って、お金持ちになりました。

 

数日後、おじいさんは、どうして若者があんなにお金持ちになったのか不思議に思いました。そして急に思い出しました。

「わしが夢の話をしたんじゃった。きっとあそこへ行って金を持ってきたにちがいない。わしも行かねばのう」

 

おじいさんは夢で見た木を見つけました。夢と同じ美しい白い花をつけていました。そしてほら穴を見つけました。中にはまだたくさんの金がありました。

 

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「この金があれば、みんなを幸せにできそうじゃ」

おじいさんは持てるだけの金を持って、村に戻りました。おじいさんもお金持ちになりました。

 

若者は、お金をすべて高価な着物や食べ物に使ってしまいました。若者はすぐに貧しくなり、暮らしはたいへん苦しくなりました。

おじいさんは村の人々を助けるためにお金を使いました。おじいさんは幸せに暮らし、村人たちは今日でもおじいさんのことを忘れていません。村人たちはおじいさんのことを「夢買い長者」と呼んでいます。

(おわり)

 

関根麻里さんの「地道にがんばります!」の一言で、私も頑張ろうと思いました!

 

【養老の滝】

  

昔々あるところに、心のやさしい若者と父親が暮らしていました。二人はたいへん貧しい暮らしをしていました。

父親は年老いて弱っていたので、働くことができません。若者は山で木こりの仕事をしていました。若者は、食べ物を買うために一生懸命に働かなくてはなりませんでした。しかし、じゅうぶんなお金を稼ぐことは難しいことでした。二人はいつもお腹が空いていました。

 

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父親はよく言いました。

「酒が飲めたらなぁ」

若者は父親の願いを叶えたいのですが、お酒を買うお金がありません。食べ物さえ買えないのですから。

父親はますます弱っていきました。若者はもっとお金を稼ぎたいと思いました。そうすれば父親にお酒を買ってあげられる。若者は毎日、長い時間働くようになりました。

 

ある日若者はとても一生懸命に働いていました。時間のことは忘れていたので、辺りは暗くなってしまいました。歩いて家に帰る途中、道が暗くてよく見えません。岩に足をぶつけました。若者は転んでしまいました。

ふと、何か匂いを感じました。

「なんといい匂いだ。なんの匂いだろう? どこから来るのだろう?」

若者はあたりを見渡すと、岩から水が湧き出ているのを見つけました。小さな滝でした。そこからいい匂いがしてくるようです。

「ちょっと飲んでみよう」

 

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若者は飲んでびっくりしました。それは水ではありませんでした。

「なんと、これは酒ではないか!」

若者は腰に竹筒を差していました。急いでその竹筒を酒で満たし、走って家に帰りました。

「父さん、酒を持ってきたよ」

「どうやって手に入れたんだ? うちにはお金がないのに」

若者は滝の話をしました。

「なんと不思議な!」

父親はうれしそうにお酒を飲みました。

その日から、若者はいつも滝に立ち寄り、父親のために酒を持って帰りました。おかげで父親は元気になりました。

 

若者と滝の話は広まっていきました。すぐにお妃様の耳にもこの孝行息子の話が入りました。お妃様はすばらしい話だと思い、若者に会いに行きました。お妃様は若者を伴って滝に行きました。

「この水がお酒になったのは、あなたがお父様のために一生懸命働いていたからですね。奇跡が起きたのです」

そしてお妃様は、若者を殿様にすると言いました。

若き殿様は父親を大切にし、二人は幸せに暮らしました。

 

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この奇跡のため、お妃様は元号を変え、養老としました。養老とは、お年寄りを大切にするという意味です。

お酒の滝は、養老の滝と呼ばれるようになったということです。

(おわり)

 

関根麻里さん、毎日甘酒を飲んでいるんですね(笑)

養老の滝は岐阜県にあります。行ってみたいです!

千葉県の養老渓谷なら行ったことあるんですが…

 

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