エンジョイ・シンプル・イングリッシュ
日本の伝統笑い!落語
『芝浜』
魚屋の主人、魚勝は大酒飲みの仕事嫌い。年の瀬に布団から出てきません。
妻「おまえさん、市場へ行って魚を仕入れてきておくれよ。今日は一年で一番忙しい日なんだから!」
魚勝「行きたかねえなぁ」
妻「魚を売らないと、家賃を払うお金もないんだよ。さあ!」
魚勝「ああ…」
表に出ると、まだ暗かったのですが、魚勝は市場へ歩いていきました。
魚勝「ありゃ?市場が閉まってるよ!なんだよ!芝浜へ行って自分で魚を獲るしかねえな」
芝浜には魚がいました。魚勝は海に入って魚を捕まえました。でも、それは魚ではありませんでした。
魚勝「財布じゃねえか。おい、金がいっぱい入ってるぞ!」
魚勝は急いで家に帰りました。
魚勝「おい、こんなの捕れたぞ!」
妻「財布かい?」
魚勝「そうさ!おれたち、金持ちになったんだ!もう働かなくていいんだよ」
妻「でも…それは返さなくちゃいけないんじゃないのかい?」
魚勝「いや。海で見つけたんだ。海で見つけたものはおれのものだ。魚だってそうだ!酒をもってこい。祝い酒だ!」
妻「でも…」
魚勝「かんぱーい!」
魚勝はひたすら飲み続けました。ついには眠り込んでしまい、翌朝まで目覚めませんでした。
妻「おまえさん、起きる時間だよ!市場へ行っておくれ。魚を売らないと家賃を払うお金が無いんだよ」
魚勝「そりゃ、あの財布の金を使えばいいんだよ」
妻「財布って?」
魚勝「昨日、芝浜で見つけた財布よ」
妻「なんのことだい?昨日は芝浜なんか行かなかっただろう?大酒飲んで寝ちまったじゃないか」
魚勝「冗談はやめろよ!金が入った財布を見つけてきただろう?」
妻「冗談なんか言ってないよ!夢でも見たんだろ?うちにはお金なんかないよ。だからしっかり働いておくれ!」
その後、魚勝夫婦は3年間一生懸命働きました。いまでは店も大きくなり、魚勝は酒を飲まなくなりました。そして、12月31日のこと。
妻「おまえさん、これをごらん」
妻は古い財布を取り出しました。
魚勝「財布?おれにくれるのかい?」
妻「ちがうよ。よく見て。覚えてないの?」
魚勝「ああ、こりゃおれが芝浜で見つけた財布じゃねえか!金がたくさん入ってた。おまえ、ありゃ夢だって言ってたけど、おれにうそついたんだな!」
妻「すまなかったねぇ…おまえさんがお金を使っちまうと思って、夢だなんて言ったのさ。働き者になってほしかったから。ごらんよ、今じゃ、うちの店もこんなに大きくなって!」
魚勝「まぁ…そうだな。うちの店もでかくなったな」
妻「さあ、お祝いのお酒でも…」
魚勝「酒?この3年間一滴も飲まなかったんだ!そりゃうまいだろうな!」
魚勝はしばらく考え込んで、やめました。
妻「おまえさん、飲みたくないのかい?」
魚勝「そうだな、やめるよ。これも夢になっちまうかもしれねぇから」
いよっ!魚勝、いい男!
で、嫁はこっち…