英検1級・TOEIC900点からのNHK語学

英語講師です。通訳案内士試験合格しました。

エンジョイ・シンプル・イングリッシュ日本語訳『父親と息子とロバ』

 

エンジョイ・シンプル・イングリッシュ

古典が語る西洋の知恵

父親と息子とロバ 

 

 

 

ある日、父親と息子がロバをつれて市場へ向かっていました。父親はロバをロープでつなぎ、息子は横を歩いていました。

こうして親子はしばらく歩いていました。

 

すると、旅人に会いました。旅人は父親と息子を指差して笑いました。

「馬鹿だなぁ、ロバを歩かせるなんて。乗ればいいものを」

父親はしばらく考えました。そして、その旅人の言う通りにしました。

 

父親は息子をロバの背中に載せて、また歩き始めました。

 

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すぐに、旅人たちの横を通り過ぎました。そのうちの一人が大きな声で言いました。

「あれを見ろよ。息子がロバに乗っているぞ、父親じゃなくて。ひどい息子だ。若者は歩いて、年寄りをロバに載せなきゃ。あの息子は怠け者だよ。父親が気の毒だ」

 

父親はまた考え、その男の言った通りにすることにしました。父親は息子にロバから降りるように言って、自分が代わりに乗りました。

 

まもなく親子は二人の女の人のそばを通りかかりました。その二人は話し始め、一人が大きな声で言いました。

「あれを見た?父親がロバに乗っているわ、息子じゃなくて。ひどい父親だわ。息子が気の毒よ」

 

父親は、何が正しいかわからなくなりました。長いこと、一生懸命考えました。そしていいことを思いつきました。二人ともロバに乗ったのです。

 

しばらく歩いて、市場の近くまでやってきました。たくさんの人たちが親子を指差しています。父親は止まって、尋ねました。

「あの、なにか間違ってますか?」

「ロバが気の毒だ。あんたと息子をあんな小さな背中に載せて」

 

また、父親は何が正しいのかわからなくなってしまいました。みんな父親に違うことを言います。父親は一生懸命考えて、別の考えを思いつきました。

 

「これこそ正しいやり方にちがいない!」

 

親子は木の棒を見つけてきて、ロバの足に結びつけました。ロバをさかさまにして木の棒につり下げたのです。父親と息子はその棒を肩にかついで、市場に歩いていきました。

みんな親子を見て笑っていました。

市場に行く橋を渡っている途中で、ロバの足の結び目が緩んでしまいました。ロバは足蹴りして、激しくあばれ、棒からはずれ、川に落ちてしまいました。

ロバの足は縛り付けられたままだったので、水の中でおぼれ死んでしまいました。

 

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すべてを見ていた老人は言いました。

「これがいい教訓になるとよいのだが。みんなを満足させようとすると、だれも満足しないものだ」

 

みんなを喜ばせようとすると、だれも喜ばない。

 

 

人に何と言われようと、自分を通す!

これ、できないんですよね…だからスティングのこれが好き

Be yourself no matter what they say ~♬