エンジョイ・シンプル・イングリッシュ
ニッポンぶらり旅
『大宰府』
ベン「アキトが神社にお参りしたいなんてびっくりだよ」
アキト「まあね。大学入試の前にも来たことがあってね。お礼参りに来たんだ」
べ「大学入試?」
(ぼくはアキト。今日、ベンとぼくは福岡県の大宰府に来ている。ここにはとても人気のある天満宮がある。)
べ「天満宮って?」
ア「うーん、天満宮っていうのは、天神様の神社だよ。学業の神様だね」
べ「ああ、だから大学入試の前に来たんだね」
ア「その通り。ぼくは広島出身だからそんなに遠くはないけど、はるばる北海道から来る生徒もいるんだよ」
べ「へー!そんなに人気があるんだ!」
ア「よし、本殿は向こうだ。行こう!」
べ「ねえ、見てよ。これ、牛の像?」
ア「そうだよ。菅原道真は牛に好かれてたらしい」
べ「あ、そうなんだ…。で、スガワラノミチザネって誰?」
ア「ああ、天神様だね」
べ「神様なのに、名前があるの?」
ア「そうだよ。9世紀に実在した人だよ」
べ「へえ、何をした人なの?」
ア「京都の朝廷に仕えていたんだ。とても優秀だったから、位の高い役職に就いたんだよ。でも、嫉妬した人たちが、道真のことで嘘をついたんだ。失脚させたかったんだよ。朝廷はその嘘を信じて、道真は福岡の大宰府に流されたんだ」
べ「そりゃひどい」
ア「道真の死後、無実がわかって、みんな道真のために祈りを捧げるようになった」
べ「悲しいけど、興味深い話だ」
ア「だろう? あれは有名な心字池だ」
べ「赤い橋って大好き」
ア「太鼓橋だよ。太鼓橋は、過去と現在と未来をつなぐと言われている。池は、漢字の『心』の形をしているんだ」
べ「ああ、じゃあ、この橋は、過去と現在と未来を心の中でつなぐんだね。どういう意味だろう…」
ア「おい、ベン、そこで立ち止まるなよ。橋を渡れ!」
べ「この像は何?」
ア「麒麟と鳥だ」
べ「このキリン、馬みたいだけど、頭は龍みたい」
ア「そうだね。想像上の生き物なんだよ、本物じゃない」
べ「ああ、そうか。で、こっちはペンギン?」
ア「いや、それはウソっていう鳥だ。日本語でウソは嘘のことなんだ」
べ「かわいそうな鳥!」
ア「でも、ウソは特別な鳥なんだよ。誰かがうっかり嘘をついたとき、その鳥が嘘から邪気を払って、幸運をもたらすんだ」
べ「すごい鳥だね!」
ア「1月の鷽替え祭りで、小さな木製のウソを買うことができるよ」
べ「そうなの?1月にまた来て1個買いたいな、いや、5個かな」
ア「おい、そんなにこの鳥の助けがいるのか。ここが本殿だ」
べ「立派な建物だね!」
ア「天神様は、文化の神様でもあるんだ。絵画や歌舞伎などの芸術とつながりが深いんだよ」
べ「じゃあ、ぼくたちの芸の向上にもご利益があるね」
ア「たぶんね。お礼参りに来たんだけど、芸人としての将来のこともお願いしよう」
べ「いいね!」
仏教解説の著書が多いひろさちやさんは、「請求書のお参りをする人」と「領収書のお参りをする人」がいると書いています。
それを読んで以来、毎月地元の神社に「領収書のお参り」をしに行ってます。「無事でいられました。ありがとうございます」って。
みなさんはどっちのお参りをしますか?