英検1級・TOEIC900点からのNHK語学

英語講師です。通訳案内士試験合格しました。

エンジョイ・シンプル・イングリッシュ日本語訳『大宰府』

 

エンジョイ・シンプル・イングリッシュ

ニッポンぶらり旅

『大宰府』

 

 

 

ベン「アキトが神社にお参りしたいなんてびっくりだよ」

アキト「まあね。大学入試の前にも来たことがあってね。お礼参りに来たんだ」

「大学入試?」

 

(ぼくはアキト。今日、ベンとぼくは福岡県の大宰府に来ている。ここにはとても人気のある天満宮がある。)

 

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「天満宮って?」

「うーん、天満宮っていうのは、天神様の神社だよ。学業の神様だね」

「ああ、だから大学入試の前に来たんだね」

「その通り。ぼくは広島出身だからそんなに遠くはないけど、はるばる北海道から来る生徒もいるんだよ」

「へー!そんなに人気があるんだ!」

「よし、本殿は向こうだ。行こう!」

 

「ねえ、見てよ。これ、牛の像?」

「そうだよ。菅原道真は牛に好かれてたらしい」

「あ、そうなんだ…。で、スガワラノミチザネって誰?」

「ああ、天神様だね」

「神様なのに、名前があるの?」

「そうだよ。9世紀に実在した人だよ」

「へえ、何をした人なの?」

「京都の朝廷に仕えていたんだ。とても優秀だったから、位の高い役職に就いたんだよ。でも、嫉妬した人たちが、道真のことで嘘をついたんだ。失脚させたかったんだよ。朝廷はその嘘を信じて、道真は福岡の大宰府に流されたんだ」

「そりゃひどい」

「道真の死後、無実がわかって、みんな道真のために祈りを捧げるようになった」

「悲しいけど、興味深い話だ」

「だろう? あれは有名な心字池だ」

「赤い橋って大好き」

「太鼓橋だよ。太鼓橋は、過去と現在と未来をつなぐと言われている。池は、漢字の『心』の形をしているんだ」

「ああ、じゃあ、この橋は、過去と現在と未来を心の中でつなぐんだね。どういう意味だろう…」

「おい、ベン、そこで立ち止まるなよ。橋を渡れ!」

 

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「この像は何?」

「麒麟と鳥だ」

「このキリン、馬みたいだけど、頭は龍みたい」

「そうだね。想像上の生き物なんだよ、本物じゃない」

「ああ、そうか。で、こっちはペンギン?」

「いや、それはウソっていう鳥だ。日本語でウソは嘘のことなんだ」

「かわいそうな鳥!」

「でも、ウソは特別な鳥なんだよ。誰かがうっかり嘘をついたとき、その鳥が嘘から邪気を払って、幸運をもたらすんだ」

「すごい鳥だね!」

「1月の鷽替え祭りで、小さな木製のウソを買うことができるよ」

「そうなの?1月にまた来て1個買いたいな、いや、5個かな」

「おい、そんなにこの鳥の助けがいるのか。ここが本殿だ」

 

「立派な建物だね!」

「天神様は、文化の神様でもあるんだ。絵画や歌舞伎などの芸術とつながりが深いんだよ」

「じゃあ、ぼくたちの芸の向上にもご利益があるね」

「たぶんね。お礼参りに来たんだけど、芸人としての将来のこともお願いしよう」

「いいね!」

 

 

仏教解説の著書が多いひろさちやさんは、「請求書のお参りをする人」と「領収書のお参りをする人」がいると書いています。

それを読んで以来、毎月地元の神社に「領収書のお参り」をしに行ってます。「無事でいられました。ありがとうございます」って。

みなさんはどっちのお参りをしますか?