エンジョイ・シンプル・イングリッシュ
同じ誕生日
同じ誕生日 On My Birthday
上司「おい、きみ。何してるんだ?」
裕介「ああ、コピー機が壊れているんで、秘書に修理してもらおうと待っているんですよ」
上司「修理くらい覚えたらどうだ」
裕介「でも、将来コピー機を使うことなんてなさそうなんで。誰かにコピーしてもらいますから」
上司「は? ああ、山田さんか。お父さんは山田商会の社長さんだね」
裕介「そうです」
上司「そうか。きみは将来社長になるんだ。コピー機を使うこともないね。私がやってあげよう」
裕介「ありがとうございます」
ナレ(裕介)
やれやれ。いつまでここで仕事しなくちゃいけないんだ? 親父の会社はこの会社の重要な顧客なんだ。親父の会社で働かせてくれないかな。それに今日はおれの誕生日。さっさと帰って、カノジョとお祝いだ。
友樹「おい、裕介。待てよ」
裕介「友樹⁉」
友樹「見てたぞ。なんで上司にコピー取らせてるんだよ。お前の仕事だろ?」
裕介「やってくれるって言うからさ」
友樹「お前がそう言わせたんだろ?」
ナレ(裕介)
友樹とは同じ時期にこの会社に入社した。いつもおれにちゃんと仕事しろって言う。友樹は完璧すぎるんだ。
友樹「お前の親父さんが大起業の社長だってまわりに気づかせるのやめたらどうだ」
裕介「気づかせてないよ。ただ言ってるだけ」
友樹「それを言ったら、上司だってお前に仕事させづらくなるだろ。お前、勉強しに来てるんだろ?」
裕介「この会社に教えてもらうことなんかないよ。どっちみち、おれは社長になるんだから、一生懸命仕事しなくていいの」
友樹「おい、ちゃんと仕事しないリーダーなんていらないよ」
裕介「おっと、指図してもらいたくないね」
同僚1「あら、友樹。お誕生日おめでとう!」
友樹「ああ、ありがとう」
同僚1「今夜の食事会、行くでしょ?」
友樹「実は、残業しなくちゃいけないんだ」
同僚1「えーっ、お誕生日なのに。仕事どれくらいあるの? 私たち手伝うわよ。そうすれば早く終わるでしょ。いつも残業手伝ってもらってるから、お手伝いさせてね」
友樹「あ…、ありがとう!」
ナレ(裕介)
はあ? 冗談だろ? 友樹も誕生日なのか?
友樹「裕介も来るか?」
裕介「いや、予定があるんでね」
同僚たち「お誕生日おめでとう、友樹!」
友樹「うわー。サプライズかー。みんな、ありがとう!」
同僚2「この前のプロジェクト、友樹のおかげで大成功よ! 将来は社長さんかな?」
友樹「おい、よせよ」
ナレ(裕介)
はあ? 友樹、人気があるのか。おれも今日誕生日なのに。誰もおめでとうって言ってくれない。
(エレベーターのドアが開いて)
父親「失礼!」
裕介「父さん? ここで何してるの?」
父親「やあ。ここに優秀な社員がいると聞いてね。役職を与えようとやってきたんだ」
裕介「おお、ついに! おれ、父さんの会社で働けるんだね?」
父親「お前じゃない。おお、きみだ。友樹くんだね? ちょっと話をしようか」
えーっ⁉「スカッとジャパン」がここにも⁉