エンジョイ・シンプル・イングリッシュ
仁淀川
仁淀川 The Niyodo River
ベン「ゆっくり、ゆっくり…。右足をつけて」
アキト「うわっ! こわい!」
べ「あー、高いところがこわいなんて信じられない。大道芸人じゃないか。高いところをこわがってちゃダメだな」
ア「ふん。ほっといてくれ」
ナレ(アキト)
ぼくはアキト。今日、ベンとぼくは高知県の仁淀川のそばにいる。仕事はお休みだ。このあたりを自転車で走るつもりだったけど、ベンが急に有名な滝つぼが見たいって言い出したんだ。
べ「ほら。水の音が聞こえる」
ア「ねえ、滝が見られると思うよ」
べ「うわー! アキト、水の色を見てよ! 青みがかったみどりがすごくがきれいだね」
ア「うん。それに水が透き通ってる。おどろきだー」
べ「青みがかったみどりって、仁淀ブルーって言うんだよね」
ア「そう。高地では四万十川が有名だけど、日本の主な河川のうち仁淀川の水質が一位に選ばれたんだ」
べ「あー、ここに座っているだけで気持ちいい」
ア「水を見ていると、疲れも吹き飛ぶね」
べ「よし、じゃあ戻ろう」
ア「もう?」
べ「見たいところがたくさんあるんだ」
ア「ベン、待てよ。登るのは下るのよりずっと大変なんだから」
べ「ああ、アキト、運動不足だな。ん? 向こうに畑が見える」
ア「茶畑だ。この辺りでは、お茶を栽培しているんだ」
べ「あ、見て。抹茶アイスを売ってるよ」
ア「おい! どこ行くんだ?」
ナレ(アキト)
ベンは日本に来て初めて抹茶の味を知ったんだけど、今じゃ抹茶が大好きなんだ。抹茶の文字を見ると、そっちに走って行っちゃう。
べ「うーん、すっごく美味しい!昔ながらの味でありながら、そうではない」
ア「その袋、何が入ってるの?」
べ「抹茶プリン。アキトにじゃないよ」
ア「わかってるよ。で、次はどこ行くの?」
べ「川が増水すると、水没する橋があるって聞いたんだけど」
ナレ(アキト)
この橋は、両端に転落を防ぐための欄干がない。その方が水が通り抜けやすいんだ。高知県にはこういう橋がたくさんある。ベンとぼくは橋の上を歩き始めた。
ア「おっと、車が来る」
べ「橋の端っこに寄って」
ア「ひえーっ! あの車、こんな近くを走って行ったぞ! こんな橋を歩いて渡るなんて、大冒険みたいだ」
べ「そうだね。今度は中津渓谷を見に行こう」
ア「いいね。でも、あと何か所行く予定?」
べ「この川は海にそそぐんだ。そこはいい波が来るからサーフィンができるね。それから地元のビールを飲みたいな、それと…」
ア「ベン、今日は休みなんだよ。ただリラックスしたいよ」
べ「してるじゃん」
ア「してる?」
ナレ(アキト)
今日わかった。ベンとぼくとでは、リラックスのしかたがまったく違うんだ。
ベンみたいな人、いますよね。自転車と同じで、動いていないと倒れちゃう?